日記

 入社してから2週間が経った。ようやく要領を得てきて、何処で一生懸命やるか、何処である程度手を抜くかが少しわかってきた次第だ。資料の買出しということでちょっと長めに休憩を取ったりなんてこともあったりなかったり。というかまあそんなことはあってはならないのでないということにしておこう。本当無い。無いさ。そのあってはならない架空の時間に新宿の紀伊国屋に立ち寄る夢を見た。
 そこで僕は何を思ったか7階に真っ直ぐ向かった。新宿紀伊国屋の7階は旅本フロアである。要するに僕は、嗚呼やっぱり旅って良いなあ、またインドとかそこらへんを今度は10日間と言わず1年間ぐらいかけてゆっくり周ってみたいなあ、なんてことを思ってしまったのである。インドの夢を見る。たった10日間であったが、その10日間は僕のこれまでの人生でもかなり上に位置する濃さであったのだ。こんな感じに書くとちょっとした格好つけの文章っぽくて厭だ。
 紀伊国屋7階で旅の本を30分間ぐらい立ち読みして、25日に給料が出たらあの本とこの本を買おうなんて思った次第。「金から未来を逆算するなんて馬鹿げ過ぎてるってあいつ言ってたっけ」と町田康氏はミラクルヤング時に唄っているが、当時は僕もそう思ったものである。しかしこれから手にするであろう金から未来を逆算することはまあ資本主義社会においては止むを得ないのである。町田康の考えよりもマルクスエンゲルスである。嗚呼糞これは典型的なインド病ってやつだ。インドから帰って暫くするとまた、無性に、インドに行きたくなる、それがインド病。それに罹患した。困ったもんだ。気がつくと僕はいつも「ニートニート♪」とポップなリズムをつけて口ずさんでいる。ニートってやっぱり良いもんだ。きっとポストモダン社会の勝ち組だ。この日記を書いている今、僕はビールを飲んで、プログレを聴いて、良い気持ちだ。明日も仕事だというのに。明日を思わない飲み方をしたい。