インド旅行記③

writer2006-02-24

 朝から車でジャイプルという町へ移動。ドライバーは昨日とは違う、シャリさんという中年男性。彼の英語は聞き取り易くて良かった。運転もかなり穏やかだった。ジャイプルまでは正味6時間。時々インド風オープンカフェ(何もかもオープンな感じ)がある程度の何も無い真っ直ぐな道をひたすらに走る。途中リゾートチックなホテルのレストランで昼食を摂った。食事の前にトイレへ行く。トイレにはカーストなのか、係りの男が1人いた。用を足し、さて手を洗おうと洗面台へ向かうと彼が蛇口をひねって水を出してくれる。手を拭く用の紙も差し出してくれる。『星の王子様ニューヨークへ行く』のエディ・マーフィーにでもなった気分である。しかしながら当然この場合チップというものが発生してしまう。僕は10ルピー札を彼の持つ籠に入れてトイレを出た。
 僕が昼食のメニューに頼んだものは、野菜のクリームスープとナンとパイナップルジュース。スープとナンは非常に相性が良く、美味かった。でもパイナップルジュースがどうにも価格の割りに美味くない。小さなコップに無駄に甘ったるいパイナップル風味の液体が入って40ルピー=120円。日本と同じぐらいじゃないか。ホテルの美しい庭が素晴らしいので、まあそれでチャラにしてやろう。
 再び車でジャイプルへ。街の手前で観光スポットになっているらしい城に立ち寄った。車が駐車場に入った時からガイドだとか観光ジープだとか観光象だとかの客引きが迫ってきていた。しかし象やジープは高いし、ガイドを付けなくとも観れるのだから必要無いと断る。城へは駐車場から徒歩で約10分。僕等の前を観光客を乗せた象が行く。うんこや尿を恥ずかしげもなく噴出しながら。
 城を見物し終え、ようやくジャイプルの宿に到着。昨日よりは少しレベルが上の宿。一旦部屋でくつろぎ、洗濯したりする。その後、夕方の町を歩いた。ジャイプルは周囲を城壁に囲まれた古都で、宿はその城壁内への入口すぐ近くに位置していた。今自分達がガイドブックの地図で何処にいるのか確認しようと思ったのだが、どうにも僕等は地図の読めない男なのでよくわからない。城壁外をうろうろしていたら小学校低学年ぐらいのガキ数人が走って近付いてきた。僕等を取り囲んで水をくれだとか何とか言うので僕は内藤ホライゾンばりのブーンをお見舞いしてやった。すると結構警戒してくれた。インド人もブーンには何か不穏な空気を感じるようだ。
 兎に角城壁内へ入ってみる。城壁外と変わらず車やバイクやリキシャ(人力車の自転車バージョン。原付バージョンはオートリキシャ)がクラクションを鳴らしながら行き交っていた。当然犬、牛、人も犇いている。恐る恐る、周囲を見回しながら町を歩く僕等。まるでお上りさんだ。城壁内にはバザールといわれる商店の集まった通りが何本もある。正にインドを体現したのがバザールである。そこにある店や店に集まる人を見て歩くのはなかなかに楽しい。客引きを振り払い、愛想を振る子供達に愛想を振り返したりしているうちにインドの町にも大分馴れてきた。買物をしてみようと屋台でサモサ(小麦粉で練った生地にカレーとじゃがいもを包んで揚げたもの)を食べてみた。辛さもちょうど良く、美味い。しかも1つ4ルピーである。嗚呼良かった、と満足して宿へ向かった。
 宿の隣に酒屋でビールを1瓶買った。70ルピー。安いものではない。部屋で飲んでみる。久々のビール。しかも疲れていたこともあってか、日本で飲むものよりも美味く感じた。やや酸味があり、炭酸も強めだ。ビールに満足した僕等は宿から歩いて30秒のレストランで夕食を摂ることにした。ターリーというインドの定食を注文した。豆のカレー、チーズのカレー、にんにくをきかせた野菜のカレー、ナンとグリーンピースご飯がセットになっていた。これで60ルピーである。昼のジュースの値段は何だ?更にバナナラッシーも頼んだ。カレーもナンも美味い。特ににんにくの香りが素晴らしい野菜カレーは良かった。バナナラッシーのバナナは形が残って入っていた。甘くて美味しい。そして店のじいさんが親切な人だった。こっちはもうお腹一杯だというのにナンやカレーのおかわりを持ってきてくれる。腹一杯だよ、と言うとちょっと残念そうな顔をして下がっていく。インド人ってそんなに食べるのだろうか?
 今日は多分引き分けだろう。
※写真はジャイプルの町。リキシャや葡萄売りが写っている。