インド旅行記②

writer2006-02-23

 朝。昨日電話で話した日本語を操るインド人が僕等の部屋に来た。年の頃20代後半。頭にはターバン、顔には髭がたっぷりと蓄えられていた。シク教徒だ。彼に旅のプランを話すと、オススメのルートを教えられる。デリー→ジャイプル→アーグラ→バラナシ→デリー、というのがそうらしい。当初思い描いていたルートとは掛け離れているが、彼の日本語の上手さに納得してしまった。彼に切符の手配を任せることになった。これは。まさか。もしかすると。そういうことなのか。
 兎に角今日はデリー観光。ホテルのフロントで待っているとそこにボーイ(?)さんが近づいてきた。彼は「こいつが新しいフロント係だ」と言って、僕をフロントの中へ押し込み、笑顔で僕の首にネクタイを掛けた。その写真をYが撮ったのだが、稀に見る馬鹿面であった。あの写真の馬鹿(僕だけど)は一度インド人にボコボコにされた方が良い程の間抜けっぷりで、僕は後にその写真の馬鹿(僕なんだけど)を蔑むことになる。
 デリーへの観光には僕等の他にもう1人日本人旅行者が参加した。会社を辞めて、45日間のインド・ネパール旅行を予定している女性であった。午前中から車でデリーを巡った。有名な寺やスポットに連れて行かれる。それはまあ当然のことながら異国の文化に触れるのは楽しいのであるが、暑さと物売りへの対応でかなり疲れる。更に僕等の疲労度を増幅させたのは、ドライバーの知り合いであろう土産物屋に連れて行かされたからだ。初日から荷物になるような土産物を買う奴がいるだろうか。こんなべらぼうに高い観光客で成り立っているような場所では買いたくないし。「ここで買う物なんて無い」と言って早々に立ち去った。昼にはこれまたツーリストが連れてこられるレストランへ。といっても値段は安い。マッシュルームマサラとナンを注文した。カレーマルシェのマッシュルームの4倍程の大きさのマッシュルームがゴロゴロ入っていて良い。その後も数箇所の名所名跡ともう1軒土産物屋に連れて行かれる。勿論土産物屋の前では車からは出ない。
 印象に残ったことと言えば、ドラクエに出てきそうな塔と、蓮の花の形をした新興宗教団体の立派な寺であった。やっぱり世界中、新興宗教団体というものは金を持っているのだなあと感心するとともに辟易した。
 昨日とは違う宿に戻った。1泊2人で600ルピー。昨日の宿と比べるとグレードは3ぐらい落ちた。ベッドもダブルだし。そこに朝の日本語を操るシク教徒が来てチケットを渡された。265ドル支払う。どうやら今日一緒に観光した女性も途中まで僕等と同じルートで旅行するらしい。シクの彼と女性が部屋を出たのを確認してベッドに横たわる。そうしてよおく考えてみる。高くね?インドの列車なんてたかが知れてるし。これは。やっぱり。そう。結構あのターバンに持っていかれたんじゃあないか?額にしておよそ18、000円ぐらいはやられている気がしてならない。しかしもう金を払ってしまった以上取り返すことは不可能だろう。考えれば考えるほど腹が立ってくるので夕飯を摂ることにした。
 何処か食堂はないかと夜の町を彷徨っているとあのシク教徒が。しかしここでごちゃごちゃ言っても仕方が無いので軽く受け流して再び食堂を探す。インドのファストフード店でフライドライスとスプリングロールを頼んだ。Yは「チョーメン」という焼き蕎麦のような麺類を注文した。シェフは10歳ぐらいの少年だ。将来はインドを代表する鉄人になってくれるだろう。ところで僕等の料理はというと、テイクアウトにしたので、どんな袋で出てくるのかと思っていたら、チョーメンはスーパーのビニル袋にダイレクトに入っていた。僕のは一応容器に入っている。宿に戻って食べてみる。どちらも化学調味料たっぷりで舌がなかなかにビリビリする。でも喰えないほど不味いわけではない。ただ僕には量が多かった。Yに残りを食べて貰った。
 また負けた。インドに勝てる日は来るのだろうか……?あと、朝の馬鹿面をした自分を殴ってやりたい。

※写真は2日目の宿。テレビは故障中。