日記

主な登場人物
 ・僕
 ・よく会う男友達(以下:♂友)
 ・銀座の展覧会で久しぶりに会った女友達(以下:♀友A)
 ・山口から旅行に来た女友達(以下:♀友B)
 ・僕と同じ最寄駅に住む女友達(以下:♀友C)


 竹馬の友、とはいかないけれども、高校の友人が東京に遊びに来るということで飲み会が開かれることとなった。折角東京に来たのに集合場所が京王相模原線の終着駅、橋本。神奈川県だ。横浜ならまだ華がある。それなのに橋本とは。改札前に立ちんぼの如く佇んでいるとこちらに近付く女子2名。1人は先月銀座の展覧会で会ったから1月振りだ。もうもう1人は2年前に山口で会った以来だろうか。積もる話は酒の席ですれば良いだろう。もう1人男が来るはずなのに姿は無い。電話も通じない。取り敢えず何処で飲むか店ぐらい決めておくかということになり橋本をうろつく。しかし此処は橋本なのである。3分近くうろつけば初めて来た人間ですら駅周辺の様子は理解出来る。目ぼしい店といえば、つぼ八・魚民・やるき茶屋。モンテローザ系2店に素性の知れないやるき茶屋。途方に暮れる僕等3人に救いの女神か、僕の電話が鳴った。橋本に到着したのだろうか?
 「もしもし?」「もしもし」「あと30分で仕事終わります。今、久我山です」「そうですか……。わかりました……」
 そうですか……。ならば橋本にいる理由は無い。せめて八王子に行こうじゃあないか。横浜線に乗り込む。流石は八王子。嫌な感じに発展してる。マルイを潰して、ゲーセン・パチンコ・居酒屋で1つのビルディングを形成するとはそんじょそこらの自治体には出来まい。久我山にいる友人には八王子に来いと橋本にいる時点で伝えてある。抜かり無し。さあ、いざ居酒屋へ(韻)。
 八王子で居酒屋といえば?そう。「一休」だ。一番安いのだから行くしかないであろう。座敷に案内された僕等は靴を脱いで着席した。全員がビールを注文する。女の子なのにサワーじゃないところが仲良くなれた理由であろうか。取り敢えず運ばれたジョッキを合わせてビールを煽った。最近ビールの甘みが鮮明にわかってきた。肝臓が蝕まれている。
 2年振りに会った♀友Bは山口で看護婦をしているらしい。それすらも知らなかった。手取り20万。ウォンではないのである。円で20万である。山口県で20万の収入といえば億万長者である。嘘だけど。それでも凄い。凄い泣きたかった。凄い羨ましかった。看護婦になりたかった。看護士ではなく看護婦になりたかった、僕は。その後は高校の時の話をうだうだしていると電話が鳴る。八王子に着いたとの連絡が入った。ちょうど1杯目のジョッキを空にした僕は♂友を迎えに行く。何故だかわからないが走りたくなったので、全力で脚を回転させて駅まで急いだ。久々に高校の友人と集合するのが堪らなく楽しくて僕は浮かれていたのだろう。恥ずかしい。
 一休に戻り、宴会は再開した。今度は中ではなく大のジョッキを頼む。お互いの近況を話したり、哀しんだり、楽しんだりして時間は経過する。あいつは今何をしている、あいつの消息がわからない。あの真面目そうなコが結婚した。何て話をして今回集まったグループに属していた奴等に電話を掛けるという酔っ払いの傍迷惑が噴出した。四国の大学で保父になることを目指す友人は今山口の自分の在籍した幼稚園だか保育園で実習をしているらしい。ちょっとだけ馬鹿にして電話を切る。先日アメリカから帰国し、静岡で働く友人にも電話。ちょうど仕事が終わったところらしい。彼とは一番仲が良かったので電話での会話も、木村カエラ、否、河村隆一以上にビートが合う。電話を4人で回してゲラゲラ笑う。傍から見れば最低の一団と思われたかも知れない。
 大ジョッキを飲み終える頃、皆も2杯目のグラスを空にしたので移動することに。100m離れた和民に行く途中、♀友Bが気持ち悪いと言うので、♀友Aが和民のトイレに連れて行った。長旅が祟ったのだろうか。席に残された男2人は取り敢えず安く済まそうと焼酎のボトルを注文する。焼酎『ワタミ』は鏡月の5倍ぐらい旨い。鏡月より200円も安いのに。ちょっと落ち着いたのでツマミを注文する。茄子の漬物に烏賊刺し、〆鯖。ふと思い返す。最近酒を飲む時、肉料理をあまり食べていない。特に牛と鶏を。どうも肉の脂質が苦手になってきたようだ。豚肉はまだいけるのだけれど。着実に老化が進行している。
 ♀友Bも落ち着き、会話もスムースに進む。店内に流れるBGMの話をした。アジカンの曲が全部同じに聴こえるとか。そんな話をして、焼酎ビンが空になる頃にデザートを注文した。終電も近付いてきていた。と、急遽いま1人の友人(♀友C)宅に行くことになった。家は僕と同じ最寄り駅にあるらしいが、行ったことは一度もない。街で擦れ違ったことも、この4年で1回しかない。シャーベットを平らげて席を立つ。
 八王子からおよそ25分。電車に揺られ、駅に着いた。ディスカウントストアーで酒を幾つかとツマミを数品見繕って♀友C宅へお邪魔する。小綺麗で一人暮らしにしてはちょっと広めのワンルーム。棚に飾られるは、ガンプラゾイド。素晴らしい。床に着席してビールを飲む。そして語らう。
 「ヴィジュアル系」という括り方は止めろ。デジロックとかハードコアとかミクスチャーを真剣にやっているバンドも多数存在するのだから一括りにしてくれるな。と、これまで数十回言ってきたがここでも能弁を垂れる。漫画ベスト10を決めようとするが、諦める。10じゃどうにも足りない。漫画から派生してジャンプの話。特に『リボーン』。そして森田まさのりが『柴犬』をヤンジャンで描き、その後ジャンプでの読み切り『すべるをいとわず』を描き、現在連載2回目を迎えた『べしゃり暮らし』に至った経緯を想像してみたり。なかなか有意義な議論が出来た。というか何でこいつらは皆、21歳・22歳になってもちゃんとジャンプを見てるんだ?そしてマジレンジャーの話、響鬼の話、エウレカセブンの話、ぱにぽにダッシュの話、ウェンツの話&半田君の話、苺ましまろの良さがわからないという話をした。何なんだよ。この会話。別にヲタっぽい格好はしていない、というか今風のお洒落な格好にそこそこ可愛い顔をしているのにこの知識の偏り具合は何なんだよ。凄い、凄い良い。僕は感激していた。この集団の厭なベクトルへのクオリティの高さに感激した。
 しかしながら。やはり今度の楽しい時間も光の速さで過ぎていった。ビールを2缶、梅酒を1リットル空ける頃には、めざニューは終わりを迎え、めざましテレビが始まっていた。2人は既に眠りに入っており、僕の瞼もアフタヌーンぐらい重くなっていた。『蟲師』もアニメ化です。このまま眠ってしまうのは迷惑が掛かるだろうからと思案した僕は、ようやく帰宅した。
山崎パン高井戸工場の契約社員には遠く及ばないが、夜の7時から朝の7時まで、八王子からの移動はあったものの12時間ぶっ続けで酒を飲み続けたのは初めてかも知れない。これまでの僕なら途中でダウンしていたことだろう。しかし全然誇れない記録だ。それにしても。楽しかった。充実した半日を過ごせた。


ところで。この日記を数日に分けて、何時間も費やして書いた俺って一体なんなの?