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バットマン ビギンズ 特別版 [DVD]

バットマン ビギンズ 特別版 [DVD]

折角なので映画を観る。
これまでバットマンをまともに観た事がない。だけどこれぐらいしか観る映画がない。『フォーガットン』はこの前観たし。よくよく考えてみたら僕は本当にアメコミが原作の映画を観ていない。『バットマン』『スパイダーマン』『X-MEN』『ハルク』『ヘルボーイ』『デアデビル』。どれにも手を付けてないし、付けようともしてこなかった。それには2つ理由がある気がする。まず1つは、どの映画もドンパチやって終わりだろうから別に観なくても良いだろう、という感覚があったから。特にアメリカ人の好きな漫画はそんなんだろうし。そしてもう1つが、唯一観たアメコミ原作の映画が『ミュータントタートルズ』だったから。小学校低学年ぐらいの時に観て、ストーリーがどんなものか全く覚えていない。が、果てしなく、それは殆んど知らない遠い親戚の葬式ぐらい詰まらなかったという記憶がかすかに残っている。タートルズ達はもろに着ぐるみだったし。この2つの理由から観てこなかったのだろう。しかし今回10年近く振りにアメコミ原作映画を観ることになったのだ。
因みに僕のバットマン解釈は、変態コスプレイヤーである。決してコスプレイヤーが変態なのではない。夜な夜な蝙蝠を模したスーツに身を包み、悪を倒すヒーロー気取りの金持ちが現実にいたとするとそれはもう変態なのである。それでも実際に観てみなければ変態かどうかはわからないし、変態と決め付けるのはバットマンファンに失礼である。
映画館に入ると、というか並ぶと思った以上に人が多い。そして欧米人が多い。国籍はわからないがきっとアメリカ人かカナダ人だと思う。これは僕の勝手な想像なので違うのかも知れない。そして映画が始まった。
バットマンは変態な野郎ではないのかも知れない。マントをミシンでカタカタと縫い、あの蝙蝠マークの手裏剣を自分で金属の板から切り出したり、そのマメさが素晴らしい。映画の中で何回か蝙蝠手裏剣を投げるのだがあれは1枚1枚手作りだから無駄遣いは出来ないのである。手裏剣を喰らった悪人はバットマンの努力の程を知るが良い。そしてマントも破れたらミシンに掛ける。生まれた時からとんでもない金持ちなのにとても細かいバットマン。そんな彼に僕は親しみを抱き始めていた。秘密基地とは名ばかりの廃材置き場で木やプラスティックの棒を武器と名付け、手放しに楽しかった子どもの頃を思い出す気分であった。バットマンは大人になってもそんなことをしているやはりちょっと変態なのかも知れない。
どうやらこの『バットマン ビギンズ』は以前までのバットマンとはやや趣向が違うらしい。これまでのバットマンは所謂アクション物。今回はブルース青年がいかにしてバットマンになったかを描くややヒューマンタッチな部分もほんのちょっぴりだがある。僕は多分今回のバットマンが一番好きだ。他のバットマンを観ずに言うのもアレだがそんな気がする。だから必要に迫られない限り他のバットマンは観ないだろう。ただジャック・ニコルソンのジョーカーは少し観たい。そしてキャットウーマンやロビンといった変態仲間が現れるシーンも観たい気がする。ハマってるのか、これは。
ブルースのお父さん役の人が『フォーガットン』でちょっとアレな役で出てた人だったので何か変な気分だった(バットマンのお父さんは誠実で実に良い人間なのである)。そして、クライマックスに電車が建物に突っ込むシーンがるのだが「これは不謹慎だ!すぐに上映中止にしろ!」と言い出す輩がいそう。といった具合に観ていてやけに雑念が湧く映画であった。