いのちの食べかた (よりみちパン!セ)

いのちの食べかた (よりみちパン!セ)

魚市場はテレビや雑誌でよく取り上げられているけど肉は?
それは僕も度々感じていました。


どのようにして牛やら豚を食べられる状態に処理しているのだろうか。
わざわざ痛みを与えて処理するのはこれから死んでしまうといっても可哀想。
僕は麻酔を打ってから処理をするものだとばかり思っていた。
しかしながらこれから人の口に入ることになるのに麻酔が肉に残っていたら有害だろうし……。


実際の処理方法は、
① 3cm程の細い針で額を打ち抜き脳震盪を起こし硬直させる。既に意識は無い。
② 眉間に開けられた穴から金属製のワイヤーを素早く差し込み脊髄を破壊する。完全に麻痺させるのだ。
③ ②とほぼ同じタイミングで別の人間が首の下を切る。血抜きだ。
④ トロリーコンベアで運ばれる。この段階で牛(または豚)は、まだ生きている。
⑤ 頭、前脚、後脚が落とされる。それぞれ専門の職人がいる。工場の流れ作業と一緒だ。
⑥ 皮剥き機で皮を剥がされる。
⑦ 待ち構えていた職人が腹にナイフを入れ、内臓を取る。
⑧ 背骨に沿ってチェーンソーで真っ二つに切る。


普段食べている肉はこのようにして処理されているのか、全く以って知りませんでした。
麻酔をかけるわけではないけれど麻酔と同じ効果を作り出している。
そりゃあ誰だって動物に苦痛を与えたいはずがない。
しかし以前はハンマーで頭を叩いて気を失わせていたらしい。
世の中知らないことだらけだ。
でも屠場での処理方法は知っておく必要があるだろう。
毎日食べる肉だ。肉を食べないベジタリアンでもベルトや革靴を持っているだろう。
革製品も持たない、という徹底した菜食主義者でもゼラチンや薬には動物の脂肪が使われていたりする。
兎に角、生活していく上で動物を殺すことを避けるのは不可能に近い。
それなのにどのようにして肉が処理されているか知らないなんていうのはちょっと理不尽だ。
知れば食べ物を残すなんて出来なくなる。


この本は同和問題を絡めて話を進める。
前半が肉の処理方法。後半が被差別部落への言及。
小学生にも読み易い、というか小学生向けに作られている本であるが果たして小学生にわかる内容だろうか。


僕が初めて被差別部落というものがあり、今でも差別が残っていると知ったのは中学生の時。
山口県という土地柄か大体の学校で道徳の時間なんかにビデオを見せられる。
「そんなものが今でもあるのか。ふ〜ん」という程度にしか思わなかった。
深く考えることもしなかった。しかし思ってる以上に根深い問題だとわかった。
わかったのは最近だ。
だから同和差別を考える最初の導入部でこの『いのちの食べかた』を読むべきだと思う。
中学校の道徳の教科書に載せると良いかも知れない。
その後に別冊宝島とかを読んだり読まなかったりすれば良いと思う。