日記

 多くの社会人が「初任給」のことを書いているのでしょう、25日にはきっとそうなのでしょう。
 僕が初任給を得たその日に買った物、増刊漫画ナックルズ・かけうどん中(はなまるうどん)、STEEL BALL RUNブックオフで100円本を5冊。実に有意義な金の遣い方。素晴らしき労働の対価。時給に換算すると東南アジアの労働基準並みだけど、そんなことを忘れさせる僕の中村うさぎぶりである。更にMP3プレイヤーをJCBに肩代わりして貰って買うつもりである。生活費と携帯代を家に入れるから、もしかすると来月の20日近辺では中川翔子にお世話になる可能性もあるが、きっと支払いが滞っても今は債務者にキツくは言わないだろう。サラ金めが。江戸の昔、年利20%を取る金貸しは悪徳と言われたものであるのにグレーゾーンだとかレッドゾーン(ジャンヌダルクのメジャーデビューシングル)だとか。とても哀しい世の中です。
 仕事を始めて1ヵ月、気付かされたことがひとつ。昼食の金というのが馬鹿にならない。仮に1日500円を昼食代とすると月に1万円程度はかかる計算である。なるべくならこれを抑えたい。社食なんかがあると便利なんだけど僕の会社にはそれもない。一番良いのは弁当を作って持って行くことであるが、それは面倒臭い。結果なるべく安く、腹に貯まるものを求めてメニューをチョイスする事態となる。社食はないが、会社の周りにはそれなりの店が結構ある。僕は、はなまるうどん(かけうどん中+天ぷら一品orおにぎり)→サイゼリヤ(ミラノ風ドリア+フォッカチオ)→マクドナルド。というローテーションで食事をしている。給料日ははなまるうどんの日であった。
 給料日ということでテンションというやつが上がっていたのかも知れない。いつもの如く、かけうどんの中とおにぎりをお盆に乗せ、会計を済ませた僕は無料トッピングゾーンへ向かった。はなまるうどんでは鰹節・ゴマ・天かす(揚げ玉)・山葵・生姜などのトッピングを無料ですることが出来る。普段はゴマを大さじにして3〜4杯振りかけるのが僕の食べ方なのだが、この日はどういうわけか天かすも山の如く振りかけてしまったのだ。うどんの上の天カスはあたかもローリー寺西が昔やっていたバンドを逆から読んだよう。「天かす」と語幹も割りと似ているしね。
 ちょっとの後悔とお盆を抱えて、着席して「さあ食べよう」と改めてうどんの入った椀を見るとそこにうどんはいなかった。天かすwithゴマ、といった具合である。このゴマも、仲間由紀恵withダウンローズダウンローズ並みの存在感なのである。うどんの汁を吸った、ブヨブヨの天かすが一面に。わりばしでもってうどんを底から掻き混ぜてみるのだが、トリモチで固められたように身動きが取れず、うどんに自由や人権というものは最早無かった。こうしてしまったのは自分のせいなのだから残すわけにもいかない。何より腹が減っていた。僕はうどんを啜った。啜るというよりかは一口頬張っては、噛み切るという到底麺類とは思えない食べ方である。僕はおにぎりを頬張り、うどんの汁で流し込むという食べ方が好きなのだが、汁と呼べるものは皆無に等しく、おにぎりは水で胃へと流し込んだ。何もかもが裏目に出ていた。どうにかうどんを食べ終えたが、未だに天かすは残っている。まじまじとそれを見つめると何だか本当に中学生の熟成された、ローリー寺西が昔やっていたバンドを逆から読んだような感じで最初の時よりもそっくりであった。ローリー寺西が昔やっていたバンドを逆から読んだものをリアルに想像しながら、それを口に入れてみると胃からうどんやおにぎりが込み上げてきそうであった。しかし食べた。勿体無いし。また来るよ、はなまるうどん。もう天かすは入れない。ダウンローズだけで十分だとわかったから。
 話は飛ぶが、帰りの電車内で『増刊漫画ナックルズ』を読んでいたら近くにいたおじさんが露骨に厭な顔をしていたので、きっと信濃町関係の人だったんだろう。いやはや立派です。そんなに信じられるものなんてなかなかないですよ。おじさん、その気持ちは自分だけの大切なものにしてください。周りの人に広めるなんて勿体無いですよ。うんこ