日記

 社会人1年生の先輩と久々に会ってお酒を飲む。面子は先輩1人と僕を含む下っ端3人である。例の如く東京で一番安いを標榜する居酒屋『一休』。駆け付け一杯ということで中ジョッキ。会話は進み更に中ジョッキ。また中ジョッキ。会話は続く。トイレ。そして焼酎極少量。いまいち好きになれない鏡月。規定の2時間を過ぎ、とてもこれ以上長居出来ない雰囲気が店員から漂ってきたような感じがしたところで退店。2軒目へ向かう。
 『HUB』という英国パブ風の小洒落た店だ。『一休』では見ることの出来ない客層である。勿論ビールを飲む。ジュークボックスを見付けてしまった。「見付けてしまった」のである。見付けない方が良かった。スキャットマンを6回連続とかで流す。店員さんにバレてた。笑ってた。可愛かった。本当に笑っていたのだろうか?嘲笑か?
 3回目のスキャットマン辺りでどうやら胃から酸っぱい物がせり上がってきていることに気付いた。レストルームへ。英国風に。大便所は残念ながら使用中だった為、洗面台にかます。しかし忘れてはならない。ここは英国パブ風の店なのだ。勿論僕は紳士的にかました。
 レストルームから帰還した僕は元の輪に加わる。僕の背後に座るインド人に話し掛ける。通訳を生業としているらしく日本語が達者だ。でもどうやら僕は英語で話し掛けたいらしい。日本語はいつでも使える。せっかく中学高校と6年間も学んだ英語を使う機会は皆無に等しい。だから使いたかったのだろう。なんやかやと会話をしたが、実のあるものは無かった気がする。退店。
 3軒目。別の『HUB』。どうしてこんな近くに店舗を展開するのだろう。席と客の確保だろうね。またビール。ビールって凄いよな。どうやったらこんなもん考え付くんだよ。麦はわかるよ、麦は。主食だからね。だけどホップとかどこから持ってきたんだよ。何故泡が必要だと思ったんだよ。思考があらぬ方向へ飛ぶ。これもビールという大発明が成せる所業だ。
 女性の店員さんに「彼氏はいますか?」と訊いてしまった気がする。会話の中で女性は恋人と○○なシチュエーションに陥った場合どのような態度を取るのか?というような議論をしていた、気がする。だから女性に訊いてみようと相成り、店員さんに声を掛けた。というのが顛末だったような、違ったような。だけど店員さんは忙しいらしく「いません」とだけ言って去る。何だこれは?まるで僕がナンパする為に声を掛けたみたいじゃないか。断じて違う。そんな度胸は無え。だから思い出したくない。僕は自分自身が厭になった。
 そういえば何故先輩との会話がこの日記に記されていないのか?それは一休を出た辺りから記憶が曖昧だから。オシッコとか漏らした気がするけど、21歳なのでそんなはずはない。もしそれが事実ならばそれはキャトルミューティレーションの新たな形だと思う。こんな僕ですがまた一緒にお酒を酌み交わしてください。