カルト―39〈3〉 (角川文庫)

カルト―39〈3〉 (角川文庫)

ナンシー関と永井泰宇との組み合わせの連続。


ヤマギシを元ネタにしたと思われる事件。
香深のセミナーへの潜入を中心に書かれている。
精神医学の専門家である香深でさえマインドコントロールされるかもしれないと恐怖するその手口の巧妙さ。
作者の永井さんは事細かに書いているが、よくここまで書いたものだと感心した。
プロに感心するのは当たり前だけど物凄く緻密にその情景が書かれている。
実際に永井さん本人がセミナーに行ってきた様な書きっぷりだ。
ヤマギシの人から話を聞いたりもしたのだろうけど。
それにしても香深と共にセミナーに潜入した刑事の笠井さんが凄い頼もしい。
香深に内緒で笠井さんをセミナーに送った山内検事の計らいも粋。


前作のフラッシュバックに比べると胸糞の悪さは無い。
施設にいる子どもが痛々しいけれど。
実際のヤマギシは今もこんな状況なのだろうか。
大学を卒業する前に僕もこういう類のセミナーに参加してみたいものだ。


とか言って実際に信者になっちゃったりする人間も多いのだろうから迂闊には近付けないけど。
行く前に脳の仕組みだとか精神医学の知識をある程度備えておかないと駄目だろうな。